ABSTRACT 622(13)
キメラ化モノクローナル抗体 Nd2 単独投与による膵癌腫瘍増殖抑制および肝転移抑制の検討:山本 篤、澤田鉄二、西原承浩、山下好人、仲田文造、平川弘聖(大阪市大・一外)
Inhibition of tumor growth and hepatic metastasis of pancreatic cancer with chimeric monoclonal antibody Nd2:Atsushi YAMAMOTO, Tetsuji SAWADA, Tamahiro NISHIHARA, Yoshito YAMASHITA, Bunzo NAKATA Kosei Hirakawa(1st Dept. of surg., Osaka City Univ.Med. School)
【目的】我々は、これまでに膵癌に特異的なキメラ化抗体 Nd2 (cNd2)の131I 標識によるターゲット療法および in vitro での ADCC(抗体依存性細胞障害)誘導による抗腫瘍活性について報告してきた。今回我々は、cNd2 の単独投与による膵癌の腫瘍増殖抑制および肝転移抑制の可能性について検討を行った。
【方法】ヌードマウスを用いて膵癌細胞株 SW1990 の皮下注射による膵癌皮下移植モデルと脾臓内注射による膵癌肝転移モデルを作成した。cNd2 50μgを隔日に計4回 200μg腹腔内投与し、膵癌皮下移植モデルにおける腫瘍体積と、膵癌肝転移モデルにおける肝転移結節数を測定し、コントロール群との比較検討を行った。
【結果】皮下移植モデルにおいて、抗体投与7日目の腫瘍体積は cNd2 投与群で 219mm3、コントロール群 667mm3であり肝転移結節数はコントロール群で12.3±4.3 (6〜15)、cNd2群で1.8±1.7 (0〜4)とcNd2 投与にて有意に腫瘍増殖抑制ならびに肝転移抑制を認めた。
【結語】 cNd2 は、抗体単独投与においてもその ADCC 活性誘導により、膵癌腫瘍増殖抑制ならびに肝転移抑制効果を示し、膵癌の免疫療法への応用に高い有用性が示唆された。