ABSTRACT 624(13)
BCG-CWS単独免疫療法による“がん”転移性リンパ腺腫消滅のメカニズム:林昭1、瀬谷司1、豊島久真男1、山内民男2(1大阪成人セ、2大阪北野病)
Mechanism in the disappearance of metastatic lymphnode by cancer immunotherapy with BCG-CWS alone: Akira HAYASHI1, Tukasa SEYA1, Kumao TOYOSHIMA1,Tamio YAMAUCHI2, (1Osaka Med.Ctr. for Cancer & Cardiovasc. Dis., 2Osaka Kitano Hosp.)
BCG-CWSを用いる単独免疫療法の効果には明確な特徴がある:(1)免疫適格患者にのみ有効、(2)がんの種類を問わず、またリンパ節転移の有無とは関係なく有効で、完全治癒が可能、(3)治療経過中にしばしば転移性巨大リンパ腺腫や縦隔内リンパ腺腫の消失が見られる、(4)脳、肝、骨などの遠隔転移には効果が乏しい。これらの結果は、BCG-CWSの臨床効果がリンパ節転移の抑制、消滅と関係のあることを強く示唆する。
【目的】BCG-CWS単独免疫療法の作用機作の解明
【結果】転移性リンパ腫の出現を反復する副腎皮質がん患者につき、免疫療法を実施する前後でのリンパ腫の変化を比較した。発見された経約6Bの腫瘍は、免疫療法開始後約3ヶ月[インタ−フェロン(IFN)-ガンマ誘導陽転後約2ヶ月]で約1/3に縮小したCTスキャン像が得られた。組織化学的には治療前と比較して治療開始3ヶ月で樹状細胞、HLA-DR陽性細胞の出現と共にT細胞、とくにCD28強陽性の細胞が、ほぼ変性・壊死状態に陥ったがん細胞群を取り囲む像が得られた。一方、 IFN-ガンマ誘導陽性でもCD28陽性細胞出現の見られない患者の予後は必ずしも良好ではなく、突然死[その多くは脳転移]が見られた。従って、BCG-CWSの皮内接種は、末梢血への一過性のIFN-ガンマの誘導と共に、皮膚Langerhans細胞への補助刺激活性の提供、リンパ節での樹状細胞への分化から、最終的にT細胞(おそらくがん特異的CTL)の活性化を促進するものと考えられる。
【結論】BCG-CWS単独免疫療法は、がん抗原提示細胞の補助刺激活性を誘導することにより、T細胞を活性化し、転移性リンパ腺腫を消滅させる。