ABSTRACT 650(15-2)
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APC 遺伝子情報に基づく家族性腺腫性ポリポーシス家系のマネージメント:1田村和朗、1指尾宏子、1古山順一(1兵庫医大・医・遺伝)

Management of family members of patients with familial adenomatous polyposis based on analized data of the APC gene:Kazuo TAMURA1, Hiroko SASHIO1, Jun-ichi FURUYAMA1 (1Dept. of Genet., Hyogo Coll. of Med.)

【目的】家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)のマネージメントは各家系に応じた検査・治療・カウンセリングがなされるべきと考える。今回、APC 遺伝子情報を加味したマネージメントが可能か模索した。
【対象と方法】家族性腺腫性ポリポーシスの34家系55名の APC遺伝子のgermline mutation を同定した後、大腸病変などの表現型を詳細に検討し、遺伝子型-表現型相関を統計学的に解析し、将来予測の可能性を検討した。
【結果と考察】大腸ポリープ密度が10個/cm2以上の密生型患者のgermline mutationはAPC遺伝子のcodon 1102-1345のProfuse Related Region(PRR)に集簇するが、これらの患者は他の領域に変異を有する患者に比較し、明らかにより若年期に進行癌に罹患し、統計的にも有意の差を認める (p=0.0207)。したがってPRRに変異をもつ患者家族は若年期より進行癌に進展する危険性が高いため通常より対策の迅速性が要求される。分子生物学的情報を十分に活用し、家系に応じた合理的なマネージメント計画をたて、実行するべきであると考えられた。