ABSTRACT 652(15-2)
 一般演題一覧 トップ 


本邦の多内分泌腺腫瘍症1型患者におけるMEN1遺伝子変異の解析:岸 真理, 塚田俊彦, 清水聡子, 丸山宏二, 小原孝男, 亀谷 徹, 山口 建国立がんセ・研・細胞増殖因子, 東京女子医大・内分泌外, 北里大・医・病理)

Germline mutations of the MEN1 gene in Japanese patients with multiple endocrine neoplasia type 1: Mari KISHI, Toshihiko TSUKADA, Kouji MARUYAMA, Satoko SHIMIZU, Takao OBARA, Toru KAMEYA, Ken YAMAGUCHI (Growth Factor Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., Dept. of Endocr. Surg., Tokyo Women's Med. College, Dept. of Pathol., Sch. of Med., Kitasato Univ.)

〔目的〕多内分泌腺腫瘍症1型(MEN1)は下垂体、副甲状腺、膵および消化管の内分泌腫瘍を来す常染色体優性の遺伝疾患であり、原因遺伝子としてMEN1が同定された。諸外国のMEN1症例で報告されているMEN1遺伝子の異型接合胚細胞突然変異は多様でありhot spotは認められていない。我々はMEN1の遺伝子診断の可能性を探る為に、本邦患者におけるMEN1遺伝子の変異を解析した。〔方法〕 MEN1患者の正常または腫瘍組織からDNAを抽出し、MEN1遺伝子の蛋白コード領域全域を9ヵ所に分けてpolymerase chain reactionで増幅後、direct sequencing法で塩基配列を決定した。また、この方法で変異を発見できなかった症例では、MEN1遺伝子近傍の多型解析と遺伝子量測定により遺伝子欠失の有無を検討した。〔結果〕14家系のうち10家系で、MEN1遺伝子の蛋白コード領域に、家系ごとに異なる胚細胞突然変異が同定され、その分布は遺伝子全体にわたっていた。また別の1家系では、片方の遺伝子全体の欠失を認めた。〔結論〕MEN1の発端者の遺伝子診断のためには、遺伝子の大きな欠失の可能性も含め、MEN1遺伝子全体の解析が必要である。