ABSTRACT 659(15-2)
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Fasを介したアポトーシスによる抗腫瘍作用の基礎的研究:武田泰隆、清水本武、松沢昭雄、江里口正純東大・医科研・外、実動、都臨床研・化療)

Study on anti-tumor effects of apoptosis via Fas : Yasutaka TAKEDA1, Motomu SHIMIZU2, Akio MATSUZAWA3, Masazumi ERIGUCHI1 (1Dept. of Surg., 2Anim. Res. Ctr., Inst. Med. Sci., Univ. of Tokyo, 3Dept. of Cancer Therap., Metropol. Inst. of Med. Sci.)

アポトーシスによる抗腫瘍作用はまだ充分明かではない。そこで、我々はFasを介するアポトーシスによる抗腫瘍効果について検討した。マウス肝癌細胞株MH134にマウスFas cDNAを導入し、Fas高発現細胞株(F6b株)を得た。In vitroにおいて、F6b株に対して抗Fas抗体(Jo2)は明らかなアポトーシスを誘導した。In vivoにおいては、gld/lprマウスの皮下にF6b株を移植しJo2を静注したところ、腫瘍の増大の有意な遅延がみられた。一方、FasL cDNAを導入したNeuro2a細胞の培養上清から精製したrFasLはFas陽性細胞のアポトーシスをin vitroで特異的に誘導し、F6bの担癌gld/lprマウスに投与したところ、著しい抗腫瘍効果を示した。さらに、マウス乳癌細胞株MM2についても、マウスFas cDNAを導入し、Fas発現MM2株を得、同様の検討を加えている。Fasを介するアポトーシスは、構成的にFasを発現している肝細胞由来のMH134においても、Fasを発現していない乳腺細胞由来のMM2においても、Fas cDNAを導入すると見られることから、広く様々な癌に対しても応用できる可能性が示唆された。