ABSTRACT 660(15-2)
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E1B55K欠失アデノウイルスを用いた膵癌に対する遺伝子治療:元井冬彦1、砂村真琴2、松野正紀2、定田明子1、吉田陽子1、濱田洋文11癌研・癌化療セ・分子生物治療、2東北大・医・外)

Gene therapy for pancreatic cancer with a restricteed replication competent adenovirus lacking E1B55k (AxE1AdB) : Fuyuhiko MOTOI1, Makoto SUNAMURA2, Seiki MATSUNO2, Sadata AKIKO1, Yoko YOSHIDA1, Hirofumi HAMADA1 (1 Dpt.of Mol. Biother.Res. Cancer Chemother. Ctr. Jpn. Fdn. of Cancer Inst., 2 Dpt.of Surg. Tohoku Univ.)

【目的】E1B55Kを発現しないアデノウイルスは、p53機能異常のある細胞で効率良く増殖し、細胞を破壊する。今回このウイルス(AxE1AdB)を作成し、p53変異を有する膵癌細胞に対する効果および非増殖型アデノウイルスベクターとの併用効果を検討した。【方法と結果】膵癌細胞5株は全てAxE1AdBによる殺細胞効果を認め、ウイルスは50〜3000倍に増殖していた。スキッドマウスのヒト膵癌皮下腫瘍モデルにおいても抗腫瘍効果を認めた。また培養膵癌細胞に対し、サイトカインを発現する非増殖型アデノウイルスベクター(AxCAhIL-2,AxCIhIL-12)をAxE1AdBと共感染させた。AxCAhIL-2とAxE1AdBの共感染では、AxCAhIL-2単独に比べ100倍以上のIL-2の産生を認め(CTLL-2アッセイ)、AxCIhIL-12との共感染においてもAxCIhIL-12単独の数百倍のIL-12産生を認めた(ELISA法)。【結語】以上の結果より、AxE1AdBは膵癌に対して有効であり、また他のアデノウイルスベクターとの共感染でその効果を著明に増大させることが示された。