ABSTRACT 667(15-3)
 一般演題一覧 トップ 


MDR1-bicistronic vectorによる骨髄細胞における第2の導入遺伝子の発現のin vivoでの長期維持:杉本芳一1,塚原里美1,佐藤重男1,鶴尾隆1,21癌研・癌化療セ,2東大・分生研)

Long-term co-expression of transduced genes from the MDR1-bicistronic retrovirus vectors in hematopoietic cells in vivo.: Yoshikazu SUGIMOTO1, Satomi TSUKAHARA1, Shigeo SATO1, Takashi TSURUO1,2 (1Cancer Chemother. Ctr., Jpn. Fdn. Cancer Res., 2Inst. Mol. Cell. Biosci., Univ. Tokyo)

【目的】ヒト多剤耐性遺伝子MDR1の遺伝子治療におけるin vivoでの薬剤選択マーカーとしての有用性を、我々の開発したMDR1-bicistronic vectorを用いて検討した。【方法】MDR1遺伝子ともうひとつの細胞表面タンパク遺伝子gp91を共発現させるretrovirus Ha-MDR-IRES-gp91を導入したマウスの骨髄細胞を別のマウスに移植し、2つの遺伝子産物の発現を経時的にFACSで調べた。【結果】遺伝子導入細胞を移植されたマウスの末梢白血球の最大40%にP-glycoproteinとgp91の共発現が観察された。マウスをそのまま観察すると導入遺伝子発現細胞は減少していったが、マウスへのpaclitaxel投与で、両遺伝子産物が発現している細胞の割合は維持された、あるいは増大した。その結果、2-3ヶ月ごとのpaclitaxelを投与で、移植後1年後のマウスの末梢血中に最大25%の遺伝子導入細胞を維持させることができた。この観察期間中に遺伝子発現量のheterogeneityは増大する傾向にあった。【結論】MDR1遺伝子がin vivoで第2の目的遺伝子を発現する骨髄細胞を長期維持するのに有効であることを初めて証明した。