ABSTRACT 670(15-3)
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Green Fluorescent Protein (GFP) 遺伝子マーカーをもつバイシストロニック・レトロウイルスベクターによる造血幹細胞遺伝子治療技術の開発:久米晃啓1,松田幹人1,卜部匡司1,小澤敬也1,21自治医大・分子病態治療研セ・遺伝子治療、2自治医大・血液)

Bicistronic retrovirus vectors with green fluorescent protein (GFP) gene as a selectable marker for transduction of hematopoietic stem cells:Akihiro KUME1,Kant MATSUDA1,Masashi URABE1,Keiya OZAWA1,2(1Div. of Genet. Ther.,Center for Mol. Med.,Jichi Med. Sch.,2Dept. of Hematol.,Jichi Med. Sch.)

目的:造血幹細胞遺伝子治療における遺伝子導入効率の問題を克服するために、我々は選択マーカーとしてのGFP遺伝子に着目し、外来遺伝子が導入された細胞の選別や、その後のin vivo解析を可能にするシステムの開発を試みている。方法:キャップ依存性に翻訳される第一シストロンにヒトCD24遺伝子、第二シストロンには脳心筋炎ウイルス のinternal ribosome entry site(IRES)依存性に翻訳されるGFP遺伝子をもつバイシストロニック・レトロウイルスベクター(MSCV/cd24IRESgfp)を構築した。このベクターを用いてマウス初代骨髄細胞に遺伝子導入後、致死量放射線照射したレシピエントに移植してin vivoでの導入遺伝子発現の推移を追跡した。結果:造血系再構築マウスの末梢血におけるCD24抗原・GFP両遺伝子の発現は6カ月以上持続し、検討した全ての血球系列(赤芽球系、顆粒球・単球系、B-及びT-リンパ球系)への分化は正常で各々にて導入遺伝子の発現を確認した。第二次移植後も導入遺伝子の発現は持続しており、多能性をもつ造血幹細胞に遺伝子が導入されたことを裏付けた。本ベクターによって遺伝子導入細胞の選択やin vivoでの追跡が可能となり、また標的細胞への遺伝子導入効率の判定が簡便化されるなど、遺伝子治療技術の開発・改良に大きく寄与すると考えられる。