ABSTRACT 671(15-3)
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全身投与による嫌気性菌の腫瘍特異的局在化の検討:矢澤和虎,藤森 実,谷口俊一郎信州大・医・第2外,信州大・医・加齢適応研セ)

Selective localization of anaerobic bacterium in mouse tumors following intravenous administration : Kazuyuki YAZAWA1, Minoru FUJIMORI1, Shun'ichiro TANIGUCHI2 (1Dept. of 2nd Surg., Shinshu Univ. Sch. Med. 2Res. Center on Aging and Adapt. Shinshu Univ. Sch. Med.)

〔目的〕腫瘍組織は増大するにつれてその中心部は正常組織に比べ嫌気的環境になることに着目し、担癌マウスに嫌気性菌であり、非病原性のBifidobacterium bifidum (Lac B)を全身投与し、腫瘍および正常組織での局在を比較検討した。〔方法〕C57BL/6 マウスにB16-F10 melanoma cellおよびLewis lung cancer cellを左大腿部に移植し2種類の担癌マウスを作製した。尾静脈より一定濃度に希釈したBifidobacterium bifidum (Lac B)を尾静脈より全身投与した。投与後、経時的に屠殺し、腫瘍組織および正常組織(肝、脾、腎、肺)を摘出し、均質化した。BL寒天培地中にその組織浮遊液を蒔き、嫌気的に3日間培養し、各組織中でLac Bが検出されるかを検討した。同時に病理組織学的にも検討した。〔結果〕5000個のLac Bを全身投与したとき、B16-F10 melanoma cell および Lewis lung cancer cellともに、Lac Bは腫瘍内でのみ48、96、168時間と経時的に増加した。一方、肝、脾、腎、肺の各組織中のLac Bは漸減していき、96時間後には全く培養されなかった。また、グラム染色で腫瘍組織g織D中にグラム陽性に染色される菌体を認めた。〔結語〕嫌気性菌であるBifidobacterium bifidum (Lac B)は腫瘍組織中でのみ特異的に増殖したことから、腫瘍組織に特異的に遺伝子を運ぶベクターとして応用できる可能性が考えられた。