ABSTRACT 678(15-4)
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Diphtheria Toxin遺伝子を用いた固形腫瘍の電気遺伝子療法:西徹1,後藤智明1,吉里公夫1,竹島秀雄1,山本恵三1,紀武志1,木村貴弘1,多田建智1,河内正人1,倉津純一2,S. B. Dev3,生塩之敬11熊本大・医・脳外,2鹿児島大・医・脳外,3Genetronics Inc.)

Electro-genetherapy of solid tumors using diphtheria toxin gene: Toru NISHI1, Tomoaki GOTO1, Kimio YOSHIZATO1, Hideo TAKESHIMA1, Keizo YAMAMOTO1, Takeshi KINO1, Takahiro KIMURA1, Kenji TADA1, Masato KOCHI1, Jun-ichi KURATSU2, Sukhendu B. DEV3, Yukitaka USHIO1(1Dept. of Neurosurg, Kumamoto Univ. Sch. of Med., 2Dept. of Neurosurg, Kagoshima Univ. Sch. of Med., 3Genetronics Inc.)

目的:Diphtheria Toxin(DT)は細胞の蛋白合成を阻害する強力な毒素である。細胞周期に依存することなく、わずか1分子で細胞を死に至らしめる事が可能である。この毒素は蛋白合成阻害作用を持つAフラグメント(DT-A)と細胞内への侵入に不可欠なBフラグメント(DT-B)の2つのフラグメントからなる。DT-Aの遺伝子のみを使用することによって、周囲の細胞・組織に影響を与えることなく遺伝子導入された細胞のみを殺すことが可能であり、悪性腫瘍の遺伝子療法への応用が期待されている。我々は、生体内電気穿孔法を用いてプラスミドDNAを選択的、かつ効率よく腫瘍組織内へ導入する方法を開発し、この毒素遺伝子を用いた遺伝子療法の可能性を解析した。方法:ラットグリオーマ細胞C6をラット側腹部皮下に移植し、4日後、DT-A遺伝子発現プラスミド(pMC1DT-A)25 mgを 0.1 ml の K-PBS に溶解して腫瘍内に注入。5分後にrotating needle array(径5mm)を用いて生体内電気穿孔法を行い、遺伝子を導入した。電気穿孔法の条件はパルス幅:10 msec, 電圧:75V,8pulseとした。結果:DT-A遺伝子の腫瘍内導入により腫瘍組織内に広範な細胞死の領域が認められた。細胞死の形態はアポトーシスによるものであり、DT-Aによってもたらされたものと考えられた。結論:DT-A遺伝子を用いた固形腫瘍の電気遺伝子療法は有効な方法と考えられる。