ABSTRACT 683(15-4)
bax遺伝子を用いた卵巣癌遺伝子治療の基礎的検討:鶴田優子、万代昌紀、小西郁生、南部香成子、黒田英樹、由良泰一郎、 Hamid A. Atia、草刈孝史、藤井信吾(京大・医・産婦)
Basic trial of gene therapy for human ovarian cancer using the bax gene: Yuko TSURUTA, Masaki MANDAI, Ikuo KONISHI, Kanako NANBU, Hideki KURODA, Yasuichiro YURA, Atia A. Hamid, Takashi KUSAKARI, Shingo FUJII (Dept. Gy/Ob., Kyoto Univ.)
[目的]卵巣癌細胞に遺伝子治療を用いてアポトーシスを誘導することにより、化学療法における薬剤感受性を高めうる可能性について検討した。
[方法] Cre/loxP系on/off制御システムを用いたBax発現アデノウイルスベクターを作製し、シスプラチン耐性卵巣癌細胞株 SK-OV-3に感染・導入した後のBax蛋白発現の経時的変化をWestern blot法で検討した。また、Bax蛋白誘導と同時にシスプラチンを加え、67時間後の生細胞数をMTT法で測定することにより、殺細胞効果を検討した。
[結果] SK-OV-3では感染後28時間より、51時間の間にBax蛋白発現のピークを認めた。bax遺伝子+シスプラチン投与群では、コントロールウイルス+シスプラチン投与群、及びシスプラチン単独投与群と比べて生細胞数にしてそれぞれ65.7%、71.6%の低下を認めた (p <0.05)。又、bax遺伝子のみ導入した群でも、無治療群と比べると生細胞数は65.7%低下した。
[結論] 卵巣癌細胞にbax遺伝子を導入することにより、アポトーシスを誘導し、これによってシスプラチン感受性を高めうる可能性が示唆された。