ABSTRACT 684(15-4)
MUC1-transgenic mouseにおけるnaked DNA 癌ワクチンの抗腫瘍効果: 柏葉 匡寛1、早川善郎1、滝山郁雄1、寺島雅典1、斎藤和好1、Jianlin GONG2, Donald. W. KUFE2(1岩手医大・外、2Dana-Farber Cancer Institute, Harvard Medical School)
Anti-tumor activity of naked DNA vaccination in MUC1-transgenic mouse: Masahiro KASHIWABA1, Yoshiro HAYAKAWA1, Ikuo TAKIYAMA1, Masanori TERASHIMA1, Kazuyoshi SAITO1, Jianlin GONG2, Donald. W. KUFE2 (1,Dept. of Surgery、Iwate Medical University School of Medicine, 2Dana-Farber Cancer Institute, Harvard Medical School)
【目的】癌関連抗原であるMUC1のcDNAを組み込んだplasmid DNA(pE2MUC1)をマウスに筋肉内注射して、抗原特異的免疫反応の誘導を試みた。さらに、マウスのco-stimulatory factorであるB7-1(pE2B7-1)を添加して、その抗腫瘍効果の増強を検討した。【方法】pE2MUC1に、pE2B7-1を添加して筋肉内注射し、最終投与から2週間後にMUC1陽性の細胞を皮下、あるいは尾静脈から接種して腫瘍の生着・増大を測定した。また、MUC1のtransgenic mouseを用いても同様の実験を行った。【結果】wild-typeのマウスで、pE2MUC1単独で58%の腫瘍が拒絶された。一方、pE2MUC1にpE2B7-1を添加した場合、91%が拒絶された。さらに、肺転移の系でも、pE2MUC1単独で50%、pE2MUC1にpE2B7-1を添加した場合で、86%の肺転移の抑制がみられた。これらマウスでは、脾臓から高いcytotoxic T lymphocyte (CTL)の活性が認められた。MUC1のtransgenic mouseを用いた場合、pE2MUC1単独では皮下腫瘍の増大の抑制はみられなかったが、pE2MUC1にpE2B7-1を添加した場合、 全例で約80%の腫瘍の増大の抑制がみられた。腫瘍内にはCD8陽性のT cellが優位に認められたが、MUC1陽性の正常臓器(唾液腺・膵臓・気管粘膜)には、細胞浸潤等の自己免疫反応を疑う所見はみられなかった。【結語】B7-1の併用による抗腫瘍効果の劇的な向上は、自己免疫の所見を伴わず、naked DNAを用いた癌vaccineの発展・臨床応用の可能性を強く示唆した。