ABSTRACT 752(P1-7)
ウロトロピンのF344ラット及びBDF1マウスを用いた経口投与(混水投与)によるがん原性試験:野田圭介,大野博,山崎一法,松本道治,加納浩和,長野嘉介,山本静護,松島泰次郎(中災防 日本バイオアッセイ研究センター)
Carcinogenesis Studies of Urotropin in F344 Rats and BDF1 Mice(Drinking Water Studies):Keisuke NODA, Hiroshi OHNO, Kazunori YAMAZAKI, Michiharu MATSUMOTO, Hirokazu KANO, Kasuke NAGANO, Seigo YAMAMOTO, and Taijiro MATSUSHIMA (Japan Bioassay Research Center JISHA)
【目的及び方法】ウロトロピン(1,3,5,7-テトラアザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)の混水投与によるがん原性を検索する目的で、6週齢の F344ラット及び BDF1マウスを用いてがん原性試験を行った。1群雌雄各50匹の動物にウロトロピンをラットでは 0,7500,15000,30000ppm、マウスでは 0,10000,20000,40000ppmの濃度で104週間自由摂取させ、動物を屠殺し諸臓器を病理組織学的に検索した。【結果及び結論】ラットでは、雌雄とも腫瘍性病変の顕著な発生増加は認められなかった。なお、雌雄とも死亡/瀕死例の心臓及び腎臓に鉱質沈着がみられた。マウスでは、雌の乳腺の腺癌及び腺腫が僅かに増加傾向を示した。なお、雌雄とも鼻腔に嗅腺の導管拡張等がみられた。以上のように、ウロトロピンはF344ラットの雌雄及びBDF1マウスの雄に対してがん原性を示さなかった。BDF1マウスの雌では乳腺腫瘍の発生の増加傾向を示したが、その程度は僅かであった。本試験は労働省の委託により実施した。