ABSTRACT 754(P1-7)
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新生仔マウス二段階発癌モデルにおけるUDMH及びHQの発癌標的性: 田村 啓、豊田和弘、畝山智香子、渋谷淳、高橋道人、広瀬雅雄(国立医衛研・病理)

Tumorigenic activities of 1,1-dimethylhydrazine (UDMH) and hydroquinone(HQ) in 2-stage carcinogenesis model of newborn mouse: Toru TAMURA, Kazuhiro TOYODA, Chikako UNEYAMA, Makoto SHIBUTANI, Michihito TAKAHASHI, Masao HIROSE (Div. of Pathol., Natl. Inst. Health Sci.)

[目的] 発癌物質の検索を目的とした新生仔マウス二段階発癌モデルの有用性の検討のため、それぞれマウス肺、肝に対する既知発癌物質1,1-dimethylhydrazine(UDMH)及びhydroquinone(HQ)の本試験系における腫瘍発生状況を検索した。[方法] イニシエーターとして生後9日目の雌雄ICRマウスにN-methyl-N-nitrosourea (MNU)を20mg/kg体重の割合で単回腹腔内投与した。2週間後からHQの0.8%混餌投与もしくはUDMHの20mg/kg体重/週の皮下投与を行った。対照としてMNU+基礎飼料、MNU未処置+HQもしくはUDMH投与群を設けた。30週齢時に全生存動物を剖検し病理組織学的に検索した。 [結果] MNUの新生仔期投与により肝腫瘍(雄のみ) 肺腫瘍 (両性) の発生が認められた。肝腫瘍の発生率はMNU単独投与群の10%に対してMNU+HQ投与群では54.5%と有意に増加した。肺腫瘍の発生率は、MNU単独では雄で80%、雌では36.3%であった。MNU+HQ投与群では雌の肺腫瘍発生率は93.3%と有意に上昇し、多発性もMNU単独投与の1.08個/匹に対し4.67個/匹と有意に増加した。また雄では発生率(90.9%)には差が認められないもの癌の多発性は0.74個/匹と有意に増加した。一方、MNU+UDMH投与群では雌の肺腫瘍発生率は68.8%とMNU単独投与の約2倍を示した。[結論] 新生仔マウスにおいてはHQが新たに肺発癌促進作用を持つ可能性が示唆された。新生仔マウスを用いる二段階発癌モデルは発癌プロモーター検出系として有用であると考えられた。