ABSTRACT 760(P1-7)
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ラット肝中期発癌試験法(伊東法)を用いたα-benzene hexachloride(α-BHC)の発癌修飾作用の検討:桝田周佳1、鰐渕英機1、山本晋史1、今岡進2、舩江良彦2、須方督夫1、福島昭治11大阪市大・医・1病理 2生体化学)

Dose response of α-isomer of benzene hexachloride on rat liver carcinogenesis using medium-term bioassay: Chikayoshi MASUDA1, Hideki WANIBUCHI1, Susumu IMAOKA2, Yoshihiko FUNAE2, Shinji YAMAMOTO1, Tokuo SUKATA1, Shoji FUKUSHIMA1 (1 Dept. Pathol., Osaka City Univ. Med. Sch., 2 Lab. Biochem., Osaka City Univ. Med. Sch.)

【目的】有機塩素系の農薬の1つであるα-BHCはラットおよびマウスにおける肝発癌性のため使用が禁止されたが、現在も食物や環境中に微量ながら存在している。今回、α-BHCの低用量における発癌修飾作用について肝中期発癌試験法(伊東法)を用いて検索を行った。【方法】6週齢の雄性F344ラットを195匹用い、実験開始時にDiethylnitrosamine(DEN)を200 mg/kg腹腔内投与し、2週目より500、125、60、30、15、7.5、4、2、1、0.5、0.1、0.01、0 ppmの濃度でα-BHCを基礎粉末飼料に混ぜて投与し、3週目に2/3肝部分切除術を施行した。8週目に肝を摘出し、glutathione S-transferase placental form(GST-P)の陽性細胞巣を免疫染色、およびCYP 2B1、CYP 3A2の蛋白定量をwestern blotting、および蛋白活性をtestosterone hydroxylation assayにて測定した。
【結果】α-BHCの0.1および0.01 ppmの低用量においては前癌病変の指標であるGST-P陽性細胞巣の面積、個数が対照群に比して減少しており、CYP3A2の蛋白量および活性も同様に低下していた。また、高用量においては用量相関性をもってGST-P陽性細胞巣の増加が見られた。
【考察】α-BHCのラット肝発癌作用には閾値の存在の可能性が示唆された。