ABSTRACT 767(P1-8)
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腸上皮化生を伴うヒト胃粘膜における発癌剤代謝酵素(CYP)の発現:立道昌幸, 野村幸世, 小倉 勤, 江角浩安(国立がんセ・研・支所・がん治)

Expression of cytochrom P450s (CYP) in the human gastric mucosa with intestinal metaplasia: Masayuki TATEMICHI, Sachiyo NOMURA, Tsutomu OGURA, Hiroyasu ESUMI (Investigative Treatment Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Insti. East)

[目的]腸上皮化生は分化型胃癌の前癌病変としての重要性が示唆されているが、その意味については不明である。我々は、癌原性化学物質を代謝活性化するチトクロームP450(CYP)酵素が、腸上皮化生を伴うヒト胃粘膜において発現していることを発見した。[方法]胃内視鏡による生検組織、胃ガン手術による摘出胃を用いて, NADPH-diaphorase染色法にてCYPと共発現すると言われるP450還元酵素活性の組織内分布を検討した。又RT-PCR法を用いて、CYP1A1, 1A2, 3A4, 2D6, 2E1, p450 reductaseの mRNAの発現を検出した。[結果]腸上皮化生を伴う胃粘膜上皮に、正常上皮と比較して著しく強いNADPH-diaphrase活性が認められ、この染色性はp450 reductase阻害剤であるDiphenyleneiodonium chloride (DPI)にて阻害された。腸上皮化生を有する胃粘膜においてCYP1A2, 3A4, 2D6, P450 reductaseの高発現を認めた。[考察]腸上皮化生を伴う胃粘膜上皮は、吸収能をもち、かつCYP酵素による癌原化学物質の活性化部位として重要であり、胃粘膜において各種発ガン物質が吸収、活性化される可能性が明らかになった。