ABSTRACT 774(P1-8)
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国内5地点における太陽光紫外線の照射量と学童および成人の曝露量:宗像信生(国立がんセ研・放射線)

Solar-UV irradiance and personal exposure of schoolchildren and adults in 5 Japanese cities: Nobuo MUNAKATA (Radiobiol. Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

(目的)太陽光紫外線への曝露は皮膚癌発生の主要因であるが,日常生活で浴びる紫外線の量が,居住地の気象地理的な全天照射量と,生活,行動のスタイルとにいかに依存しているかの調査研究はほとんどない.その大きな理由は,紫外線の照射量と曝露量を的確に定量化する方法が開発されてこなかったことにある.
(方法)医学、生物学的に有意義な DNA 損傷性を反映する紫外線量の測定システムとして,ろ紙上に乾燥させた枯草菌紫外線高感受性胞子の失活から生物効果線量(胞子致死ヒット数=SID)をもとめる胞子ドシメターを開発した.これと紫外線着色ラベルを取り込んだバッジを作成し,フィルタによって季節,地点を問わずに丸一日間の測定ができるようにした.これを用いて年間4季に一週間づつ、数十人づつの学童および成人を対象とした調査をおこなった.調査日にそれぞれの地点で、全天照射量を測定した.
(結果)小学5ー6年生の調査(Munakata et al., JJCR 89, 235-245, 1998)では,東京と筑波で中程度の平均曝露量(SID>15)を示した3日は,いづれも学校の野外活動,行事によるものであった.宮崎と那覇の全天照射量は多いが,春,夏,秋の平均曝露量は,その 5% 以下だった.各種職業人を対象とした同様の調査では,宮崎の観光サービス業の従事者について,年間を通じて高い曝露例(SID>40)が頻繁にみられた.