ABSTRACT 775(P1-8)
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ペプチド核酸を用いたマウスH-ras遺伝子突然変異の簡易検出と低頻度突然変異への応用: 根本 信雄,佐久間 勉,原田 薫,堀 裕子(富山医薬大・薬・毒性学)

Detection of a mutated mouse H-ras gene by using peptide nucleic acid and application for detecting a mutation at low frequency : Nobuo NEMOTO, Tsutomu SAKUMA, Kaoru HARADA, Yuko HORI (Dept. Toxicol., Toyama Med. & Pharmaceu. Univ.)

 遺伝子の点突然変異を高感度に検出するためには、圧倒的に多い正常塩基塩基配列の遺伝子を何らかの方法で検出できなくすることが必要である。我々は、ペプチド核酸(PNA)はオリゴヌクレオチドと比べてDNAと強くハイブリダイズしてTaqポリメラ−ゼの働きを阻害するが、1塩基の違いがあるとハイブリダイズしないので阻害作用が発現しないことを利用して、マウス実験肝がんで高頻度に起こるH-ras遺伝子の変異を簡便に検出出来ることを観察した。
 PNAはH-ras61番目コドンを含む正常塩基配列15-merを用い、PCR用のプライマ−は61番目コドンを挟んで設計した。PCR産物はポリアクリルアミドゲル電気泳動で確認した。正常DNAを鋳型とした時はPCR産物は得られず、変異DNAでは明瞭なバンドが確認された。検出感度は10-3であった。Diethylnitrosamine投与B6C3F1マウスに誘発された肝がんについてスクリ−ニングを行い、陽性とされたDNAの塩基配列を調べたところ、CAAからAAA、CGA、CTAへの変異が確認された。以上の結果、1回のPCRでアイソト−プを用いずに多量のサンプルを短時間でスクリ−ニング可能となった。