ABSTRACT 779(P1-9)
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phenolphthaleinのヒトプロト型c-Ha-ras遺伝子導入トランスジェニックマウスにおける6ヶ月発癌性試験:糀谷高敏1,三森国敏1,安原加壽雄1,小野寺博志1,高木久宜1,高橋道人1,広瀬雅雄1,野村達次2 (1国立医衛研・病理,2実中研)

Six-month carcinogenicity study of phenolphthalein in trangenic mice carrying the human prototype c-Ha-ras gene:Takatoshi KOUJITANI1,Kunitoshi MITSUMORI1,Kazuo YASUHARA1,Hiroshi ONODERA1,Hisayoshi TAKAGI1, Michihito TAKAHASHI1, Masao HIROSE1 and Tatsuji NOMURA21Div. of Pathol., Natl. Inst. Hlth Sci., 2Central Inst. Exp. Anim.)

【目的】phenolphthaleinはAmes試験陰性,染色体異常と小核試験が陽性で,2年間の発癌性試験でB6C3F1マウスに造血器および卵巣腫瘍を,6ヶ月の発癌性試験で片側のp53遺伝子を欠損させたC57BLマウスにリンパ腫を誘発することが報告されている.今回,ヒトプロト型c-Ha-ras遺伝子を導入したトランスジェニックマウス(rasH2マウス)における本物質の発癌性を検討するため,以下の実験を行った.【材料および方法】9週齢の雌雄各40匹のrasH2マウスおよび同腹仔の野生型CB6F1マウスを用いて,雌雄各15匹の投与群(対照群は10匹)にphenolphthalein 6000あるいは3000 ppm含有粉末飼料を6ヶ月間与えた.【結果】phenolphthaleinによるリンパ腫の誘発は認められなかった.【考察】rasH2マウスはリンパ腫嫌発系であるが,強い発癌物質ではリンパ腫が誘発される.一方,p53欠損マウスはリンパ腫が18ヶ月齢で32%に自然発生する.また,phenolphthaleinによるリンパ腫の誘発にはp53遺伝子の欠損が関与することが報告されていることから,一対のp53遺伝子を持つ rasH2マウスでは,リンパ腫は誘発され難いものと考えられた.現在,phenolphthalein 12000 ppmをrasH2マウスに投与する追加実験を実施中である.