ABSTRACT 780(P1-9)
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ヒトプロト型c-Ha-ras遺伝子導入マウス(rasH2)に誘発された皮膚・前胃腫瘍の遺伝子解析: 若菜茂晴1 、丸山千佳1、浦野浩司1、三森国敏2、児玉幸夫2、山本 慧3、臼居敏仁1、野村達次11 実中研、2国立衛研、3萬有製薬)

Genetic analysis of the skin and forestamach tumors in the rasH2 mice induced by carcinogen: Shigeharu WAKANA1 , Chika MARUYAMA1 , Koji URANO1 , Kunitoshi MITSUMORI2, Satoshi YAMAMOTO3 , Toshimi USUI1 , Tatsuji NOMURA1 (1Central.Inst.Exp.Anim, 2Natl. Inst. Hlth. Sci.,3Banyu Co.Ltd. )

【目的】ヒトプロト型c-Ha-ras遺伝子を導入したrasH2(Tg)マウスは各種発がん物質に対する感受性が高いことから短期発がん性試験用動物としての有用性が示唆されている。このTgマウスの発がん高感受性の機序を解明する目的でこのマウスに誘発される皮膚・前胃腫瘍における導入遺伝子およびマウス内因性c-Ha-ras遺伝子の変異について解析した。【方法】Tgマウスに4HAQO, thiotepa, 4-vinyl-1-cyclohexene diepoxide, ethyl acrylate, DENを投与することにより誘発された皮膚および前胃の腫瘍のDNAからヒトプロト型c-Ha-ras のコドン12,61また、マウスc-Ha-ras遺伝子のコドン12,61および117の変異をPCR-RFLP法およびSSCP法でスクリニングし、さらにdirect sequencingした。【結果と考察】Tgマウスに誘発された腫瘍の導入遺伝子では、コドン12に変異が認められその頻度は55%であった。コドン61の変異は4-Vinyl-1-cyclohexene diepoxideにより誘発された皮膚の乳頭腫で1例認められた。マウス内在性c-Ha-ras遺伝子については点突然変異は認められなかった。昨年度、rasH2マウスにおける肺腫瘍では導入遺伝子の変異はごく低頻度であり、マウス内因性Ki-ras遺伝子の変異がなかったことを報告した。これらの結果からrasH2マウスの発がん物質による皮膚・前胃腫瘍ではマウス内因性ras遺伝子の関与はないが、導入遺伝子の関与は肺腫瘍誘発の場合と異なることが示唆された。