ABSTRACT 782(P1-9)
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DMBAによる皮膚発がんに対するメタロチオネインの抑制効果: 佐藤雅彦1,張 宝旭1,曽根秀子2,遠山千春1(国立環境研・1環境健康,2化学健康リスク)

Metallothionein suppresses mouse skin tumorigenesis caused by DMBA: Masahiko SATOH1,Baoxu ZHANG1,Hideko SONE2,Chiharu TOHYAMA1 (1Environ. Health Sci. Div.,2Health Risk Assessment Team,National Inst. for Environ. Studies)

【目的】7,12-ジメチルベンズ(a)アントラセン(DMBA)による皮膚発がんが種々の抗酸化剤によって抑制されることが報告されている。一方、メタロチオネイン(MT)は、システイン含量が高い金属結合蛋白質でフリーラジカル消去作用を有する。そこで今回、ジーンターゲッティング法によりMT-IおよびMT-IIの発現を抑えたMT遺伝子欠損マウスを用いて、DMBAによる皮膚発がんに対するMTの効果を検討した。
【方法】MT遺伝子欠損マウスおよびその対照(野性型)マウスはA. Choo博士より供与を受けた。10週齢雌のこれらのマウスを剃毛し、背部皮膚に様々な投与量のDMBA(0.1〜1.0 mg/0.1 ml acetone/mouse)をそれぞれ1回塗布して、14週間後に皮膚での腫瘍の有無を観察し、病理組織学的検査を行なった。
【結果】DMBAを塗布したMT遺伝子欠損マウスの皮膚での腫瘍(乳頭腫)の発生率は、投与量依存的に増加し、1.0 mg/mouse 投与群では腫瘍の発生率が70 %であった。一方、野生型マウスでは、どの投与群においても腫瘍の発生は全く認められなかった。
【結論】MT遺伝子欠損マウスは野生型マウスに比べて、DMBAによる皮膚発がんに対して高い感受性を示すことが明らかとなった。従って、MTはDMBAに対する生体内抗発がん因子として重要な役割を果たしていることが示唆された。