ABSTRACT 784(P1-9)
ミクロゾームエポキシドヒドロラーゼノックアウトマウスによるフェニトインの生殖毒性:宮田昌明1,2, Ying-Hue Lee2, Jeffrey M Peters2, Pedro Fernandez-Salguero2, 木村芝生子2, Frank J Gonzalez2, 山添康1 (1東北大・薬, 2Natl. Cancer Inst., Natl. Inst. Health)
Increased embryotoxicity and teratogenicity of phenytoin in microsomal epoxide hydrolase null-mice: Masaaki MIYATA1,2, Ying-Hue LEE2, Jeffrey M PETERS2, Pedro FERNANDEZ-SALGUERO2, Shioko KIMURA2, Frank J GONZALEZ2, Yasushi YAMAZOE1 (1Faculty of Pharm. Sci. Tohoku Univ., 2Natl. Cancer Inst., Natl. Inst. Health)
[目的] ミクロゾームエポキシドヒドロラーゼ(mEH) は、多くの催奇形性、発がん物質のエポキシ体を加水分解することによりこれらの化合物の解毒に関与すると考えられている。 本研究では、薬物や外来異物に由来するエポキシ化合物に対するmEHの生体内での役割を明らかにすることを目的とし, mEHノックアウトマウス(mEH-/-マウス)を作製し抗痙攣薬であるフェニトインの生殖毒性について検討した。
mEH遺伝子のエクソン2を含むDNA断片5.5kbを用いてターゲットベクターを作製し、常法に従いmEH-/-マウスを得た。mEH タンパクはmEH-/-マウス肝において、検出されなかった。mEH-/-マウスは、正常な生後発達を示し、その生殖機能も正常だった。主要臓器における病理学的解析においてもwild-typeマウスと比べて差異は、認められなかった。雌mEH-/-及びwild-typeマウスの妊娠9,10,11日にフェニトイン25mg/kgおよび50mg/kgを経口投与し、その胎児毒性(resorption)と催奇形性(nonossification rate)を解析した。フェニトイン50mg/kg投与においてmEH-/-マウスはwild-typeマウスに比べて、2.6倍の胎児毒性を、またフェニトイン25mg/kg投与において2.2倍の催奇形性を示した。以上の結果よりmEHは、生体内でフェニトインによる生殖毒性を抑制 していることが示唆された。