ABSTRACT 792(P1-9)
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化学発がん抵抗性ラット肝に特異的に認められる mRNA 発現のDifferential Display 法を用いた探索:有吉範高1,東監2,鎌滝哲也11北大院・薬・医療薬学,2産業医大・生化)

Investigation of mRNA species characteristic of the liver of chemical carcinogen-resistant rats by differential display method: Noritaka ARIYOSHI1,Ken HIGASHI2,Tetsuya KAMATAKI1 (1Div. Pharmacol. Toxicol., Grad. School Pharm. Sci., Hokkaido Univ., 2Dept. Biochem., School Med., Univ. Occup. Environ. Health.)

【目的】肝臓に対する強力ながん原化合物 3'-methyl-4-dimethylaminoazobenzene (3'-Me-DAB) の継続的投与と継代投与によって 3'-Me-DAB や 2-acethylaminofluorene などによる肝発がんに著しく抵抗性を示すラットが樹立されている1)。この抵抗性は遺伝的形質として定着していると考えられるが、未だに抵抗性を付与していると考えられる遺伝子の特定には至っていない。そこで今回は発がん抵抗性の原因となる遺伝子産物を単離する手段として mRNA differential display 法を用い、親株である Donryuラットと抵抗性ラットの肝臓において発現量に差異の認められるmRNA分子種のクローニングを行なった。【方法】両群の6週齡未処理雄肝臓より総RNAを単離し、設計したアンカープライマーを用いてcDNA に変換後、それを鋳型として同じアンカープライマーと、別に設計した任意プライマーの組み合わせを用いて緩和な条件で PCR を行なった。得られたmRNAフィンガープリントより発現量の異なる増幅産物を切り出し、PCRで再増幅の後、クローニングを行なった。【結果】がん感受性ラットと抵抗性ラットの肝臓におけるmRNA発現パターンにはいくつかの明らかな違いが認められた。現在、発現量に差異が認められた PCR 産物についてクローニングを進めている。
1) Cancer Res., 45, 6155-6159 (1985) Yoshimoto et al.