ABSTRACT 798(P1-10)
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強制および自発運動のラット臓器DNA中8−ヒドロキシグアニンレベルに対する影響:平野 雄、浅海 信也、鶴留 洋輔、山口 雷蔵、葛西 宏(産業医大・産業生態)

Effect of forced and spontaneous exercise on 8-hydroxyguanine levels in rat organs : Takeshi HIRANO, Shinya ASAMI, Yosuke TSURUDOME, Raizo YAMAGUCHI, Hiroshi KASAI (Inst. Indust. Ecolog. Sci., Univ. Occup. Environ. Hlth.)

適度な運動が発癌に抑制的であることはよく知られている。その一方で、運動は活性酸素の発生を高めることも報告されており、効果的な運動方法の確立は重要な課題である。しかし、どのような運動が活性酸素発生の影響を受けず、発癌抑制に効果的であるかの詳細は憶測の域を出ない。そこで我々は7週齢SD雄性ラットに強制および自発運動をさせ、それらと酸化的DNA損傷との関連を検討した。ラットを3群に分け、それぞれ強制運動群(n=12)、自発運動群(n=10)、そのどちらも行なわせないコントロール群(n=9)とした。強制運動は電気ショックを与えながらトレッドミルで一定のプログラムに従って行なわせた。自発運動は37cmの自由に回転する輪の中を自発的に走らせるようにした。5週間の運動の後、ラットを屠殺し、酸化的DNA損傷のひとつであり、突然変異を誘発することから発癌への関与が示唆されている8−ヒドロキシグアニンのラット臓器(心、肺、肝)DNA中でのレベルを測定した。その結果、強制運動群では心、肺、肝の3臓器とも自発運動群に比し、8−ヒドロキシグアニンは高値を示した(p<0.05)。又、コントロール群はそれらの中間の値を示した。即ち、強制的に行なわれた運動は酸化的DNA損傷を高め、遺伝子の立場からすると有害であるが、自発的に行なう運動は酸化的DNA損傷を低レベルに保ち健康増進に効果的であることが示唆された。