ABSTRACT 802(P1-10)
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肺癌p53遺伝子変異と酸化的DNA損傷:井上政昭1,2,大崎敏弘,葛西宏,安元公正産業医大・2外,産業医大・産業生態)

Relationship between p53 mutation and oxidative DNA damage in lung cancer:Masaaki INOUE1,2 Toshihiro OSAKI1, Hiroshi KASAI2 and Kosei YASUMOTO1 (1Dep. Surg. II, Univ.Occup. Environ. Hlth., 2Inst. Indust. Ecolog. Sci)

 <目的>我々は、肺癌患者の非癌部肺組織DNA 中の8ーヒドロキシデオキシグアノシン (8-OH-dG) レベルは非癌患者と比較して高く、酸化的DNA損傷が肺癌発生に関与することを示してきた。この8-OH-dGはG:C→T:A変異を誘発する。肺癌においてはp53遺伝子で同様の突然変異が高率に認められておりp53遺伝子変異と活性酸素の関係が注目されている。今回、肺癌患者の癌組織のp53遺伝子解析と非癌部肺組織の8-OH-dG測定を行い、酸化的DNA損傷とp53遺伝子変異との関係を検討した。<方法>対象は原発性肺癌60例。p53遺伝子解析は癌組織よりDNA を抽出しExon5-8に対しABI 373S DNA sequencer (Dye terminator法)で行った。8-OH-dG測定は非癌部肺組織からDNAを抽出しHPLC-ECD法にて測定を行った。<結果>p53遺伝子変異は 60例中17例(28.3%)に認められ、そのうちG:C→T:A 変異は6例(35.3%)に認められた。全症例(n=60)の8-OH-dG値 (Mean±SD) は0.496±0.160で、p53遺伝子変異群(n=17)は0.465±0.130であり8-OH-dG値とp53遺伝子変異には相関関係はみとめられなかった。しかしp53遺伝子変異群の中では、G:C→T:A 変異例で8-OH-dG値が高い傾向にあった。<まとめ>肺癌p53遺伝子のG:C→T:A変異に活性酸素が関与している可能性が示唆された。