ABSTRACT 807(P1-10)
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高度不飽和脂肪酸ヒドロペルオキシドによる培養細胞DNAの酸化傷害(8-OHdG)の上昇:金子孝夫1,田原正一2,田口隆彦31都老人研・アイソトープ,2都老人研・超微形態,3都老人研・遺伝子情報)

Oxidative DNA damage (8-OHdG) in cultured human diploid fibroblasts exposed with polyunsaturated fatty acid hydroperoxide: Takao KANEKO1, Shoichi TAHARA2, Takahiko TAGUCHI3 (1Depts. of Biochem. & Isotopes, 2Ultrastructure, 3Gene Reg. Prot. Funct., Tokyo Metropol. Inst. Gerontol.)

【目的】DNA酸化傷害は癌などの成人病や老化との関連が指摘されている。脂質過酸化の一次産物であるヒドロペルオキシドが生体系において核やミトコンドリアのDNAに酸化傷害を誘発できるかを確かめるため、細胞培養系に高度不飽和脂肪酸ヒドロペルオキシドおよび鉄を添加し,DNA中の酸化傷害物(8-ヒドロキシデオキシグアノシン;8-OHdG)の生成を検討した。
【方法】ヒト胎児肺由来線維芽細胞TIG-7を塩化第二鉄やリノール酸ヒドロペルオキシド(LOOH)を添加したアール緩衝液中で3時間処理した。細胞からDNAを抽出してヌクレオシドまで加水分解し、HPLC/電気化学検出器によって8-OHdG量を測定した。また,抗酸化酵素(SOD,カタラーゼ,グルタチオンペルオキシダーゼ)活性などの変化も検討した.
【結果および考察】塩化第二鉄またはLOOHの単独投与によって,培養細胞DNA中の8-OHdG量は増加した。塩化第二鉄とLOOHを同時に投与すると、8-OHdG量は相乗的に増加し、変化はいずれも濃度依存的であった。抗酸化酵素活性も変化したが有意な差ではなかった.これらの結果は脂質ヒドロペルオキシドの分解から生成するラジカルや二次産物から活性酸素が生成し,DNAと反応することを示めす。膜脂質の過酸化物の分解から活性酸素が生成し,DNAにまで酸化傷害を及ぼす可能性が示唆された。