ABSTRACT 809(P1-10)
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ヒト線維芽細胞における紫外線と過酸化水素による8-ヒドロキシデオキシグアノシン生成に対するL-ヒスチジンの増強作用:太田(大屋)幸子1、上田明子1、越智崇文2、原田昌興3、山本興太郎41神奈川衛短・病理、2帝京大・薬・環境衛生、3神奈川がんセ・臨床研・病理、4東京医歯大・難治研・ウイルス/免疫)

Enhancing effects of L-histidine on production of 8-hydroxydeoxyguanosine by UV and hydrogen peroxide in human fibroblasts: Yukiko OYA-OHTA1, Akiko UEDA1, Takafumi OCHI2, Masaoki HARADA3, Kohtaro YAMAMOTO4 (1Kanagawa Pref. Coll. Nursing & Med. Tech., 2 Teikyo Univ., 3 Kanagawa Cancer Center Res. Inst., 4Tokyo Med. Dent. Univ.)

X線・UV照射した培養細胞のDNAには8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)が生成する(Kasai et al., 1988、他)。H2O2単独(20 mMまで)による8-OHdG生成は認められていないが、UVとの同時処理ではH2O2が増強作用を示す(Beehler et al., 1992)。我々はこれまでに、H2O2の染色体異常・DNA切断作用のL-ヒスチジン(L-His)による増強効果が、L-His-H2O2付加体の形成を通して起こり、その有効因子に・OH、1O2やアミノ酸能動輸送が関与していることを報告した(Oya-Ohta et al., 1988、1992、1995)。今回、ヒト線維芽細胞へのH2O2、L-His、UV処理による8-OHdG生成能について免疫組織化学的に検討した。
[方法]ヒト繊維芽にH2O2(1-150 mM)、L-His(1-10 mM) and/or UV処理(15〜30分間)し、直ちにメタノール・アセトン固定した後、8-OHdGモノクローナル抗体(日本老化制御研)を用いたABC酵素抗体法により陽性細胞を観察した。
[結果と考察]H2O2による8-OHdG生成は、L-His増強作用の系を導入した、高濃度での処理によっても認められなかった。しかし、UV照射の際、H2O2とL-Hisとを共存させた系は、H2O2単独の場合よりも、細胞核により強い8-OHdG生成が観察された。L-Hisの増強作用が示されたこの系の機構についてさらに検討・考察中である。