ABSTRACT 812(P1-10)
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ヒト大腸癌進展における酸化ストレスの検討:近藤昌平1,2、岩佐葉子1、田中智之1、小野寺 久2、今村正之2、日合 弘1、豊國伸哉1(京大院・医・1病態生物医学, 2同腫瘍外科)

Oxidative stress in human colorectal carcinoma : Shohei KONDO, Shinya TOYOKUNI, Yoko IWASA, Tomoyuki TANAKA, Masayuki IMAMURA, Hiroshi HIAI (1Dept. Pathol.Biol. Dis., 2Dept. Surgery and Surgical Basic Science, Grad.Sch. Med.Kyoto Univ.)

【目的】酸化ストレスは癌進展を促進する可能性を有しているため、癌細胞の酸化ストレスレベルを検討し、 生物学的意義を追究することは重要である。今回、私達はヒト大腸癌において酸化ストレス下に特異的に生成する8-oxoguanine, 4-hydroxy-2-nonenal(HNE)修飾蛋白およびnitrityrosineを測定し、それをPCNA核陽性率による細胞増殖能との比較を行った。【方法】大腸癌標本を用いて、各特異抗体で免疫組織染色とウエスタンブロットを行った。8-oxoGはHPLC-ECDによっても測定した。 【結果】癌細胞は高率に周囲正常粘膜細胞よりも高い染色強度を呈した。8-oxoG, nitrotyrosineの染色強度と増殖能とは正の相関関係を認めたが、HNE修飾蛋白の染色強度とは相関関係を認めなかった。ウエスタンブロットにより癌細胞は正常粘膜細胞よりも修飾蛋白は多く有し、特異的に修飾される蛋白が存在することが判明した。【考察】癌部は正常粘膜よりも高い酸化ストレスに曝されており、癌細胞にはHNEあるいはperoxynitriteに特異的に修飾される蛋白が存在した。