ABSTRACT 815(P1-10)
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過酸化水素耐性チャイニーズ・ハムスターV79変異株を用いた過酸化水素による細胞死初期過程:金子元久、井上富貴子(国立がんセ・研・生物物理)

A primary process of hydrogen peroxide-induced cell death in Chinese hamster V79 and peroxide-resistant variants: Motohisa KANEKO and Fukiko INOUE (Biophys. Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

[序] 過酸化水素による細胞毒性は濃度により異なる効果をもつ。低濃度(0 - 500 micro M)ではモードI(Fe+2キレーターによって抑制される)、高濃度(>1 mM)ではモードII(キレーターの抑制効果無し)の細胞毒性が重なることをすでに報告した。
[目的] チャイニーズ・ハムスターV79および耐性株Hpr-4を用いて、過酸化水素によるモードIおよびII細胞死初期過程を解析することを目的とした。
[結果] モードI 細胞死はミトコンドリアDNA単鎖切断生成をともなった。モードI 細胞死および単鎖切断生成はミトコンドリア電子伝達阻害剤アンティマイシンで抑制された。また、permeable cellを用いた実験によると、ミトコンドリアDNA単鎖切断生成は基質(コハク酸など)により増加した。耐性細胞Hpr-4の場合、V79と同じく低濃度過酸化水素処理ではモードIが支配的であったが、高濃度ではモードIがまだ不明のメカニズムで抑制されており、ミトコンドリアDNA単鎖切断生成の少ない(従って、恐らくミトコンドリア内膜内部の損傷の少ない)モードII細胞死が支配的となった。モードIと異なり、アンティマイシンはモードII細胞死を促進した。