ABSTRACT 816(P1-10)
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抗酸化酵素の過剰発現によるploidy patternの検討―腫瘍発育との関連について―:中谷敏也,栗山茂樹,菊川政次,辻之上裕久,吉治仁志,長尾慎太郎,浅田 潔,吉井純一,福井 博(奈良医大・3内)

Possible relationship between ploidy pattern and tumor growth caused by overexpression of antioxidant enzymes: Toshiya NAKATANI, Shigeki KURIYAMA, Masaji KIKUKAWA, Hirohisa TSUJINOUE, Hitoshi YOSHIJI, Shintaro NAGAO, Kiyoshi ASADA, Junich YOSHII, Hiroshi FUKUI (Third Dept. of Int. Med., Nara Med. Univ.)

【目的】Reactive oxygen speciesは、細胞増殖の制御あるいは発癌過程に関与していることが報告されている。さらに、Cu, Zn-superoxide dismutase (SOD)あるいはintracellular glutathione peroxidase (GP1)を過剰発現するトランスジェニックマウスでは、腫瘍発育が促進されることが報告されている。そこで我々は、これらのトランスジェニックマウスを用いて、肝再生時および自然発育期における肝細胞核のploidy patternを検討し、抗酸化酵素の腫瘍発育における影響について考察した。
【方法】部分肝切除時の再生肝細胞と自然発育期のマウス肝細胞における核ploidy patternの変化を検討した。
【結果】SODおよびGP1トランスジェニックマウスでは、コントロールマウスに比し、部分肝切除72時間後における肝細胞核のpolyploidy化は有意に抑制された。さらに、肝再生が完成した2週後においても同様の結果であった。また、両トランスジェニックマウスでは成長期の肝細胞発育過程においても、肝細胞核のpolyploidy化は有意に低かった。
【結論】癌細胞では核のploidy patternが低い傾向にあることより、抗酸化酵素の過剰発現によるpolyploidy化の抑制と腫瘍発育促進には関連性がある可能性が示唆された。