ABSTRACT 817(P1-10)
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消化器癌におけるmanganese superoxide dismutase mRNA発現の意義:國仲 慎治、藤 也寸志、森正樹、上尾裕昭、杉町圭蔵九州がんセ・臨研・病理、九大・生医研・外科、大分県病・外科、九大・医・2外)

Expression of manganese superoxide dismutase in gastro- intestinal cancers: Shinij KUNINAKA1, Yasushi TOH1, Masaki MORI2, Hiroaki UEO3, Keizo SUGIMACHI4 (1Div. of Pathol., Clin. Res. Inst., Natl. Kyushu Cancer Ctr., 2Dept. of Surg., Med. Inst. Bioregulation, Kyushu Univ., 3Dept. of Surg., Oita Pref. Hosp., 4 Dept. of Surg.II, Fac. of Med., Kyushu Univ.)

【目的】消化器癌におけるmanganese superoxide dismutase (Mn-SOD) の発現を検索し活性酸素消去系の消化器癌における意義を明らかにする。【方法】食道癌 45 例、胃癌 53 例、大腸癌 38 例の癌組織と非癌組織よりtotal RNAを抽出し定量的RT-PCR 法を用いてMn-SOD mRNA の発現を検討した。一部の症例に対し免疫染色を行った(抗体は阪大谷口直之教授より分与)。【結果】癌部、非癌部の比 (T/N比) を調べ臨床病理学的検討を行った。T/N 比の平均値は食道癌に比べ胃癌・大腸癌では有意に高かった。食道癌ではリンパ管侵襲・静脈侵襲が高度なほど Mn-SOD mRNA 発現が有意に低下していた。術前化学療法施行群では、Mn-SOD mRNA が増加している傾向にあった。逆に胃癌では静脈侵襲陽性例では有意に Mn-SOD mRNA 発現が高かった。大腸癌ではリンパ節転移陽性例、静脈侵襲陽性例で有意にMn-SOD mRNA 発現が高かった。免疫染色により大腸癌細胞の細胞質が顆粒状に染色された。【考察】 食道癌と胃癌・大腸癌における活性酸素消去系の役割の違いが示唆された。また、この相違は放射線や抗癌剤感受性の差を反映している可能性、さらにはSOD の発現調節が癌治療効果増強に有用である可能性を示していると考えられる。