ABSTRACT 830(P1-12)
河川水中の変異原物質PBTA-1及びPBTA-2の検出:楢戸恵美1, 2、小栗敦子1、糠谷東雄3、寺尾良保4、杉村 隆1、若林敬二1(1国立がんセ・研・がん予, 2東京農大・農, 静岡県大・3薬・4環境 )
Detection of PBTA-1 and PBTA-2 in river water samples : Emi NARATO1, 2, Atsuko OGURI1, Haruo NUKAYA3, Yoshiyasu TERAO4, Takashi SUGIMURA1, Keiji WAKABAYASHI1(1Cancer Prevention Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 2Agr. Div., Tokyo Univ. of Agr., 3Sch . Pharm .Sci ., 4Inst .Environ .Sci ., Univ. of Shizuoka)
最近我々は、高い変異原性を示す京都西高瀬川河川水中より2種の新規変異原物質を単離し、それらの構造をPBTA-1 : 2-[2-(acetylamino)-4-bis(2-methoxyethyl)amino]-5- meth oxyphenyl]-5-amino-7-bromo-4-chloro-2H-benzotriazole、及びPBTA-2 : 2-[2-(acetylamino)-4-[N-(2-cyanoethyl)ethyl- amino]-5-methoxyphenyl]-5-amino-7-bromo-4-chloro-2H- benzotriazoleと決定した。PBTA-1、-2は、o-ニトロアゾベンゼン構造を有するアゾ染料の還元でベンゾトリアゾール骨格が形成され、更にそれがクロル化されることにより生成するものと考えられた。そこで、染色工業地域を流れる2つの河川、愛知の日光川と京都の宇治川の下水処理場下流地点におけるPBTA-1、-2の存在の有無を調べた。
ブルーレーヨンを用いて変異原物質の吸着採取を行い、HPLCでPBTA-1、-2の分離、精製を行った。変異原性は サルモネラ菌YG1024 株を用い、S9 mix存在下で調べた。 日光川及び宇治川の河川水の変異原性は、西高瀬川と同様に高く、1gブルーレーヨン抽出物(g BR)当たり1,400,000及び1,900,000revertantsであった。日光川ではPBTA-1、-2 が15 及び55 ng/g BR検出された。宇治川ではPBTA-2が135 ng/g BR検出された。しかし、PBTA-1は検出限界以下であった。
以上より、PBTA-1、-2 は西高瀬川だけでなく他の河川にも存在することが明らかとなった。