ABSTRACT 831(P1-12)
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日光川河川水中の新規変異原物質の分離及び構造解析:小栗敦子1、楢戸恵美2、糠谷東雄3、寺尾良保4、麻野間正晴5、杉村 隆1、若林敬二11国立がんセ・研・がん予, 2東京農大・農, 静岡県大・3薬・4環境, 5名古屋市衛研)

Isolation and structual analysis of a new mutagen in water from the Nikkoh River in Aichi prefecture:Atsuko OGURI1, Emi NARATO2, Haruo NUKAYA3, Yoshiyasu TERAO4, Masaharu ASANOMA5, Takashi SUGIMURA1, Keiji WAKABAYASHI11Cancer Prevention Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 2Agr. Div., Tokyo Univ. of Agr., 3Sch . Pharm .Sci ., 4Inst .Environ .Sci ., Univ. of Shizuoka, 5Nagoya City Public Health Res. Inst.)

愛知日光川の下水処理場下流地点の河川水は、京都西高瀬川の河川水と同様に高い変異原性を示す。しかし、西高瀬川から主要変異原物質として単離されたPBTA-1、PBTA-2は日光川河川水中には少なく、全変異原性の約6%を占めるものであった。そこで、日光川河川水中に含まれる他の変異原物質の分離・構造解析を行なった。
ブルーレーヨン25gを24時間日光川に浸し、その抽出物からHPLCを用いて、サルモネラ菌YG1024に対し変異原性を示す主要変異原物質compound IIIを単離した。Compound IIIの全体の変異原性への寄与率は14 %であった。次にこの単離標品を指標とし、ブルーコットン3kg吸着物より、SephadexLH-20及びHPLCを用いて、多量のcompound IIIを精製し、各種分析機器を用いて構造解析を行った。
Compound IIIのUVスペクトルは216、386nmに極大吸収を示し、PBTA-1、-2と同様にベンゾトリアゾール骨格を有することが示唆された。また、高分解能マス及びNMRスペクトルより、この化合物は臭素及び塩素原子を一つずつ含み、アセチルアミノ基、アミノ基、O-メチル基、ヒドロキシエチル基及び3つのアロマティックプロトンを有する、分子量469.7の化合物であることが分かった。現在、推定化合物の合成を行っている。