ABSTRACT 832(P1-12)
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内因性変異原メチルグリオキサールが大腸菌lacI遺伝子において誘発する変異:紙谷(村田)尚子, 加地浩, 葛西宏(産業医大・産業生態)


Mutational specificity of methylglyoxal in the lacI gene of Escherichia coli : Naoko MURATA-KAMIYA, Hiroshi KAJI, Hiroshi KASAI (Inst. Indust. Ecolg. Sci., U. Occup. Environ. Hlth.)

[目的]メチルグリオキサールは種々の食品中に含まれる変異原物質であるが、グルコースの自動酸化においても生成することが確認されている。また、生理的条件下で解糖系の中間代謝産物であるジヒドロキシアセトンリン酸あるいはグリセルアルデヒド 3-リン酸から生成することが知られている。よって、メチルグリオキサールは内因性の変異原であることから、その変異スペクトルを解明することはヒトの発癌のメカニズムを解明する上で意義のあることと考えられる。
[方法]菌体内にmucAB遺伝子を導入することによりSOS修復機構を誘導した後、大腸菌をメチルグリオキサールで処理した。β-ガラクトシダーゼ合成能の有無に基づきlacI遺伝子に変異を有する変異体を選別し、lacI遺伝子の配列を解析した。
[結果]大腸菌の変異率はメチルグリオキサール処理濃度に依存して上昇した。メチルグリオキサールは主としてG:C塩基対に変異を誘発し、特にG:C→T:A変異を高頻度に誘発する傾向がみられた。さらに詳細に変異を解析し、活性酸素による変異全般に対するメチルグリオキサールの寄与ついて考察したい。