ABSTRACT 835(P1-13)
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発癌プロモーターにより形質転換するBALB 3T3細胞の樹立と性質決定:佐々木澄志、村上裕志、田中憲穂 (食薬安全セ・細胞毒性)

Establishment and characterization of BALB 3T3 clones in which transformation are induced by tumor promoters: Kiyoshi SASAKI, Hiroshi MURAKAMI, and Noriho TANAKA (Lab. of Cellular Toxicology, Food and Drug Safety Ctr.)

発癌プロモーターの多くは、変異原活性を持たず、その本質的な機構はまだ分かっていない。そこで、プロモーター処理により形質転換する細胞が得られれば有用な材料になると考えられたため、そのクローニングを試みた。3-methylcholanthreneを用い通常のBALB 3T3細胞形質転換試験を実施し、その中からわずかに高い細胞密度を示した細胞集団をクローニングした。BALB 3T3細胞と共培養する形質転換試験を行い、形質転換率を指標にしてスクリーニングした結果、目的とするクローンが2種類得られ、BPRT 2-13及びBPRT 2-26細胞と名付け、性質決定を行った。(1) 両細胞の形質転換率は、TPA 100 ng/ml及びインシュリン 5000 ng/mlにより促進されたが、オカダ酸 5 ng/ml処理では促進されなかった。(2) 両細胞の軟寒天中におけるコロニー形成は、TPA添加により促進されたが可逆的であった。(3) 典型的な形質転換細胞では、形質転換率及び軟寒天内コロニー形成率は、TPAの存在、非存在にかかわらず変化しなかった。以上の結果から、イニシエーションを受けた細胞の中に、プロモーターに対し親株と異なる反応を示す弱い形質転換細胞が存在し、プロモーター処理により形質転換することが示唆された。