ABSTRACT 837(P1-13)
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マウス肝癌細胞株の癌形質に関与する遺伝子解析:隅井雅晴、安本博晃、福田三郎、高橋護、神谷研二(広島大・原医研・分子生体制御)

Analysis of genes associated with biological features of mouse hepatocellular carcinoma cell lines :Masaharu SUMII, Hiroaki YASUMOTO, Saburo FUKUDA, Mamoru TAKAHASHI, Kenji KAMIYA (Dept. of Devel. Biol. Oncol., Res. Inst. Radiat. Biol. Med., Hiroshima Univ.)

【目的】我々は、B6C3F1マウスに放射線で誘発した肝癌から樹立した肝癌細胞株では高頻度に第4染色体にLOHが存在し、そのallele特異性と癌形質の間に相関がみられることを明らかにした。すなわち、C3H由来のalleleが残るものでは、C57BL由来のalleleが残るものに比べて可移植能、及び、軟寒天培地でのコロニー形成能を高率に認めた。今回、マウス肝癌細胞株における、これら癌形質に関連する遺伝子の検討を行なった。【方法・結果】軟寒天培地でのコロニー形成能を指標にして、differential display法により解析した。その結果、軟寒天培地でのコロニー形成能を有する群でadenylyl cyclase-associated protein (CAP)遺伝子の発現が亢進するものを認めた。【考察】CAPは、C末端側にアクチン結合領域、中間部にSH3ドメインを有し、細胞骨格系に関与する遺伝子である。N末端側には、 出芽酵母ではアデニル酸シクラーゼ結合領域が存在するが、高等生物での機能は明らかでない。現在、マウス肝癌細胞株にCAP遺伝子を組み込んだ発現ベクターの導入を行ない、形態変化と癌形質に及ぼす影響について観察を行なっている。