ABSTRACT 905(P3-2)
Azoxymethane(AOM)誘発ラット大腸aberrant crypt foci(ACF)に対するキダチアロエの抑制効果:新保寛1,千原猛1,別府秀彦1,金児孝晃1,葛谷博磁1,永津俊治2(1藤田学園・生薬研,2藤田学園・総医研・分子遺伝II)
Inhibitory effects of Kidachi aloe on azoxymethane-induced aberrant crypt foci in rat colon:Kan SHIMPO1,Takeshi CHIHARA1,Hidehiko BEPPU1,Takaaki KANEKO1,Hiroshi KUZUYA1 and Toshiharu NAGATSU2 (1Fujita Memorial Inst.of Pharmacognosy,2Div.of Mol.Genet.II,Inst.for Comprehensive Med.Sci.,Fujita Health Univ.)
[目的]我々はこれまでキダチアロエがラット肝前癌病変、マウス十二指腸発癌およびマウス皮膚二段階発癌に対して抑制効果を示すことを報告してきた。今回はAOM誘発ラット大腸ACFに対するアロエの修飾作用を検討した。[材料および方法]4週齡の雄F344ラットを用い、AOMを15mg/kg体重の用量で週1回3週間皮下投与した。キダチアロエはユリカ(株)提供の生葉凍結乾燥粉末を用い、5%、1%、0%(対照群)濃度で混餌し、AOM1回目投与1週間前より5週間与えた。実験終了後、動物を屠殺剖検し、大腸あたりのACF数、総aberrant crypt (AC) 数およびfocusあたりのAC数を計測した。[結果および考察]5%および1%キダチアロエ混餌群は対照群に対し、大腸あたりのACF数、総AC数およびfocusあたりのAC数がともに濃度依存的に有意に抑制した。最近、センナ、ダイオウ、カスカラ、アロエなどに由来するアントラキノン系緩下剤の長期服用が大腸発癌の危険因子の一つとして疑われている。しかし、今回のAOM誘発ラット大腸ACFの抑制実験によって、キダチアロエは他の緩下剤に比べ安全性が高く、むしろ大腸発癌を予防する可能性が示唆された。