ABSTRACT 931(P3-3)
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ラット食道発癌におけるエタノール摂取の影響:堀 高明1, 市原敏夫1, 森村圭一朗1, 鰐渕英機1, 西川秋佳2, 福島昭治11大阪市大・医・1病理, 2国立医衛研・病理)

Modifying effects of drinking ethanol on rat esophageal carcinogenesis: Takaaki HORI,Toshio ICHIHARA, Keiichirou MORIMURA, Hideki WANIBUCHI, Akiyoshi NISHIKAWA, Shouji FUKUSHIMA (1Dept.pathol.Osaka City Univ.Med.Sch., 2Div. of Pathol., Natl. Inst. of Health Sci.)

【目的】食道癌発生に対する飲酒の影響を明らかにする。【方法】 6週齢のF344系雄ラットを用いた。第1〜3群には発癌物質であるN-nitrosomethylbenzylamine (NMBA)を7.5mg/kg週3回の割合で5週間、皮下投与した。その後、第1群は無処置とし、第2、3群には15週間エタノール(各々3.3%、10%)を飲料水投与した。第4群は10%エタノールのみを15週間飲料水投与し、第5群は無処置の対照群とした。20週後にすべてのラットの食道上皮病変を病理学的に、また細胞増殖の観点から免疫組織学的に検索した。【結果】各群のラットの平均体重変化では、NMBA→3.3%エタノール投与群とNMBAのみの対照群とでは差はなかったが、 NMBA→10%エタノール投与群はNMBAのみの群に比較し減少傾向がみられた。食道腫瘍の発生頻度ではNMBA投与の各群間で差はみられなかった。また1匹当たりの腫瘍発生個数でも、各群間で有意差は認められなかった。【結論】ラットNMBA食道発癌モデルにおいて、イニシエーション後のエタノール投与は、食道腫瘍発生に対して促進も抑制も示さないことが明らかとなった。