ABSTRACT 933(P3-3)
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胆汁酸ラット胃内投与による発癌プロモーション誘導とその抑制について:山根哲郎1、菊岡範一2、松本浩彦3、徳田春邦3、西野輔翼31松下記念病院・外科、京都府立医大2一外、3生化学)

Induction of promotion with intragastric administration of taurocholic acid and its inhibition: Tetsuro YAMANE1, Norikazu KIKUOKA2, Hirohiko MATSUMOTO3, Harukuni TOKUDA3, Hoyoku NISHINO3 (1Div. of Surg, Matsushita Memorial Hosp., 2Dept. of Surg, 3Dept. of Biochem., Kyoto Pref. Univ. of Med.)

〔目的〕胃切後の残胃において、胆汁酸を含む十二指腸液が残胃内に逆流し、発癌プロモーション作用を示すと考えらる。そこで、胆汁酸の一成分であるタウロコール酸(TCA)を胃内投与し、胃粘膜のオルニチン脱炭酸酵素(ODC)活性を測定し、プロモーション活性を検討し、さらに種々の物質によるこれらへの影響について検討した。
〔方法・結果〕発癌プロモーションへの影響をTCA胃内投与によるラット腺胃粘膜のODC活性を測定した。その結果、TCA投与では著明なODC活性の上昇を認めたが、ポリフェノール化合物投与により、ODC活性は有意に低値を示した。また、ポリフェノール化合物投与により腺胃粘膜の高さは有意に低値を示し、PCNA標識率は有意に低値を示し細胞増殖抑制作用を認めた。しかし、胃粘膜のポリアミンの量には有意差を認めなかった。ついで、TCA胃内投与によるODC活性、胃粘膜高、PCNA標識率は、TCA単独投与に比べ、アスコルビン酸やチオプロリン前投与により有意の抑制を認めた。
〔結語〕以上より、TCAを発癌プロモーターとしたラット腺胃実験系にて、ODC活性やPCNA標識率などの細胞増殖動態の検討により、TCAの胃内投与によって、腺胃粘膜の発癌プロモーション状態を引き起こし、緑茶ポリフェノール化合物、チオプロリン、アスコルビン酸はこれを抑制すると考えた。