ABSTRACT 940(P3-3)
APC遺伝子変異マウスの消化管自然腫瘍発生に対するカルシウムの影響:山本智理子1, 野村起美恵1, 斉木由利子1, 柳澤昭夫1, 加藤洋1, 伊藤正紀2, 三浦成人2, 野田哲生2, 北川知行(1癌研・研・病理, 2癌研・研・細胞生物)
Calcium modulates spontaneous intestinal tumors in the Apc 1309 knockout mice: Noriko YAMAMOTO1, Kimie NOMURA1, Yuriko SAIKI1, Akio YANAGISAWA1, Masaki ITO2, Shigeto MIURA2, Tetsuo NODA2, Yo KATO1, Tomoyuki KITAGAWA ( 1 Dept. of Pathology, 2 Dept. of Cell Biology, Cancer Institute )
【目的】癌研細胞生物部で創出された家族性大腸腺腫症のモデルマウスAPC遺伝子Exon15変異マウス(APC1309)を用い消化管自然腫瘍発生に対する食餌中Ca濃度の影響を調べた。【方法】APC1309ヘテロ接合体を用い、食餌中Ca濃度が0.4%の標準食、1.0%の高Ca食、0%のCa欠乏食の3群を作成、12週飼育後屠殺解剖し、実体顕微鏡下で腫瘍数を計測した。病理組織学的に炎症性変化の有無、抗Ki-67抗体を用いた免疫組織化学的検索を行った。【結果】各群の平均体重に有意差はなく、腫瘍数に性差はなかった。十二指腸で標準食群と高Ca食群間には腫瘍数の差はなく、Ca欠乏食群で約1.7倍の腫瘍発生が見られた(p<0.05)。粘膜固有層のリンパ濾胞数は、十二指腸と回腸で、Ca欠乏食群に、標準食群と高Ca食群より多い傾向があった。【まとめ】マウスの自然腫瘍発生系でCa欠乏食は、腸管腫瘍発生に対しプロモーション効果を示したが、高Ca食が抑制効果を示すことはなかった。背景粘膜の炎症性変化は、Ca欠乏食群にやや目立つ傾向があった。