ABSTRACT 960(P3-5)
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非ステロイド性消炎鎮痛剤Sulindac (SD)によるラットAzoxymethane (AOM)誘発Aberrant crypt foci (ACF)の発生抑制機序:岸本洋輔1、汐田剛史2、川崎寛中2、長谷川純一11烏取大・医・臨床薬理、2鳥取大・医・二内)

Suppression mechanism of azoxymethane-induced aberrant crypt foci by slindac in rats:Yosuke KISHIMOTO,Goshi SHIOTA2,Hironaka KAWASAKI2,Junichi HASEGAWA11Dept.of Clinical Pharmacology, Tottori Univ.,22nd Dept. of Internal Medicine, Tottori Univ.)

[目的]近年Cyclooxygenase (COX)-2発現と大腸発癌との関連性が明らかになり、非ステロイド性消炎鎮痛剤投与によるCOX活性の抑制が大腸での発癌予防に有効といわれているが、COX-2と癌抑制遺伝子との関わりなど、不明な点も多い。我々はラットのAOM-induced ACFの存在する大腸粘膜においてSDがCOX-2遺伝子やAPC癌抑制遺伝子などの発現にどのような効果を及ぼすのか検討した。[方法]6週齢雄F344ラットを三群(各群n=7)に分け第1及び第2群はAOM投与群(15mg/kg‐皮下注を1週おきに3回投与)とし、第2群にはさらにAOM投与開始と同時にSD10mg/kgを週3回ゾンデで経口投与した。第3群はAOM、SDとも投与しないcontrol群とした。各群とも第10週齢で摘出した大腸の遠位側よりmRNAを抽出し、cDNAを作製後competitive PCR法でCOX-2、COX-1、APCの発現量を定量し、同様に定量したβ-actin発現量で補正して評価した。また残りの大腸はホルマリン固定後メチレンブルーで染色し、発生したACF数およぴACF内のcrypt数を検討した。[結果]ACFの発生頻度はcontrol群0個、第1群46土7個、第2群20土9個でありSDは有意にACFの発生数を抑制し、またSD投与によりcrypt数も減少した。COX-2の発現はcontrol群では全く認められなかったが、第1、2群ともCOX-2の発現の増加傾向が認められた。COX-2発現量は第1、2群間で明らかな差はなかった。COX-1の発現量は各三群で差を認めなかった。APC発現量はcontrol群と第1群間で差はなかったが、第2群ではそれらよりも約4倍程度APC発現量が増加していた。[結論]SD投与によりAOM-induced ACFの存在する大腸組織でAPC遣伝子の発現が高まる可能性が示唆された。