ABSTRACT 964(P3-5)
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azoxymethane誘発ラット大腸発癌の初期過程に対するLactobacillus acidophilus およびlycopene産生Escherichia coliの影響:有持秀喜,桑原知巳,片岡佳子,大西克成(徳島大・医・細菌)

Effects of Lactobacillus acidophilus and lycopene-producing Escherichia coli on the initiation stage of azoxymethane-induced colon carcinogenesis in rats : Hideki ARIMOCHI, Tomomi KUWAHARA, Keiko KATAOKA, Yoshinari OHNISHI (Dept. of Bacteriol., School of Medicine, The Univ. of Tokushima)

第55回の本学会で、Lactobacillus acidophilusの培養液およびその上清が、azoxymethane (AOM) 誘発ラット大腸aberrant crypt foci (ACF) を抑制することを報告した。今回、抑制機構を明らかにするために、大腸粘膜DNA中のmethylguanine (meG) 量の半減期を測定した。また、lycopeneを産生する菌を作成し、この菌がAOM誘発ACFの形成に対して抑制効果を示すかどうかを調べた。雄SDラットに水、培地およびL. acidophilusの培養上清を自由摂取させ、AOM 15 mg/kg wtを週に1回、計2回皮下投与した。最終のAOM投与から経時的に大腸粘膜を採取し、meGをHPLCで定量した。三沢典彦博士(キリンビール株式会社)から分与されたlycopene産生遺伝子を別のベクターに入れ、lycopene産生E. coliを作成した。この菌の菌体懸濁液をAOMを投与した雄F344ラットに自由摂取させ、大腸ACFを観察した。L. acidophilusの培養上清の投与により、O6-meGの半減期が水投与群の値の52.2パーセントになった。また、lycopene産生E. coliを摂取させると総ACF数および4つ以上のcryptからなるACF数が、ベクター対照群よりも有意に減少した。よって、これらの菌がAOM誘発ラット大腸癌を発癌初期過程で抑制する可能性が示唆された。