ABSTRACT 968(P3-5)
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ペンタクロロフェノ−ルのギャップ結合細胞間コミュニケ−ション阻害に対するエピガロカテキンガレ−トの効果: 佐井 君江1, 長谷川 隆一1, 黒川 雄二, 井上 達1 (1国立医衛研・安全性生物試験研究センタ−・毒性, 2国立医衛研・安全性生物試験研究センタ−)

Effects of epigallocatechin gallate on inhibition of gap junctional intercellular communication in liver epithelial cells by pentachlorophenol : Kimie SAI1, Ryuichi HASEGAWA1,Yuji KUROKAWA2,Tohru INOUE1 (1Div.Toxicol., Biol. Safety Res.Ctr., Natl. Inst. Health Sci., 2Biol. Safety Res. Ctr., Natl. Inst. Health Sci.)

【目的】我々は、ペンタクロロフェノ−ル(PCP)のマウス肝発がんプロモ−タ−作用と関連の認められた酸化的DNA損傷及び細胞増殖作用に対し、緑茶が抑制効果を示したことから、緑茶がPCPに対する抗プロモ−タ−作用を有する可能性を推測し、特に抗酸化成分の寄与を予測した。また、PCPは肝上皮細胞のギャップ結合細胞間コミュニケ−ション(GJIC)阻害作用のあることを見い出し、この作用のプロモ−タ−機序における重要性を報告した(第56回総会)。以上を背景に、緑茶の抗プロモ−タ−作用機序として、このGJIC阻害に対する抑制効果の関与の可能性を調べるため、本研究では緑茶の抗酸化成分であるエピガロカテキンガレ−ト(EGCG)について、培養細胞を用いて検討した。【方法】GJICの阻害作用は、F344ラット肝由来のWB細胞を用い、scrape loading/dye transfer法により解析した。WB細胞をEGCG(20〜80μM)存在下で培養し、30分後にPCP(20〜40μM)で処理し、24時間後にGJICの阻害率を計測した。【結果】PCP(20μM)のGJIC阻害に対し、EGCG(40〜80μM)によりその阻害率が有意に低下した。PCP(40μM)の阻害に対してEGCG(20μM)では抑制傾向が見られたが、高濃度のEGCGではむしろ阻害率が増大した。以上のように、PCPによるGJIC阻害に対して、完全ではないもののEGCGに抑制効果が認められた。このことは、緑茶がPCPに対する抗プロモ−タ−作用を有する可能性を支持する。(本研究は、ミシガン州立大学のDr.James E.TroskoならびにDr.Kyung-Sun Kangとの共同研究である。)