ABSTRACT 970(P3-5)
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TNF-alpha遊離抑制を指標として見出したタバコの葉に含まれる新しい発がん抑制物質:岡部幸子1,菅沼雅美1, 神谷英彦2, 藤木博太11埼玉がんセ・研,2エスエス製薬・中央研)

New anti-cancer agents isolated from tobacco leaf extracts screened by inhibition of TNF-alpha release: Sachiko OKABE1, Masami SUGANUMA1, Hidehiko KOHYA2, Hirota FUJIKI1(1Saitama Cancer Ctr. Res. Inst., 2SSP. Co. Ltd. Ctr. Res. Labs.)

発がん抑制物質は共通してTNF-alpha遊離抑制を示し、これは新しい発がん抑制機構である。従って、TNF-alphaの遊離抑制物質はがんの予防薬になると考え研究を進めている。今回、TNF-alpha遊離抑制を指標として、タバコの葉から発がんプロモーションを抑制する新規化合物を検索した。TNF-alpha遊離抑制活性は、タバコ葉面樹脂及び乾燥葉のセンブラン化合物を含む画分と、糖エステルを含む画分に認められた。センブラン化合物のalpha-CBT には、発がん抑制効果が既に報告されている。新規に見出したタバコ糖エステルは、炭素数 3〜8のアシル基がサッカロースにエステル結合したいろいろな構造の混合物であるため、タバコ糖エステルと構造が類似した合成糖エステルを用いて、TNF-alpha遊離の抑制効果を検討した。結合しているアシル基の炭素鎖長に依存して糖エステルはTNF-alpha遊離を抑制し、中でも炭素数12のアシル基の糖エステルが最も強く抑制を示した。また、タバコ糖エステルは、オカダ酸によるマウス皮膚発がんプロモーション活性を抑制した。即ち、20週における腫瘍発生頻度は、コントロールのDMBA+オカダ酸群が 73.3% であったのに対し、タバコ糖エステル画分0.1 μg塗布群では 60%、炭素数8のアシル基の合成糖エステル 0.0071 mg塗布群では40%と減少した。TNF-alpha遊離抑制を指標として見出した糖エステルによるTNF-alpha遊離抑制機構について、遺伝子発現調節のレベルから検討を進めている。