ABSTRACT 973(P3-5)
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ゲニステインによる細胞周期の停止とp21Cip1の発現誘導:葛巻丈二朗, 石川喜一(山形大・医・2生化)

Arrest of the cell cycle and induction of p21Cip1 expression by genistein : Takejiro KUZUMAKI, Kiichi ISHIKAWA(Dept. of Biochem., Yamagata Univ. Sch. Med.)

[目的]大豆に豊富に含まれているイソフラボノイドの一種であるゲニステインは疫学的、実験的に癌予防作用を有すると考えられている。本研究ではゲニステインによる癌抑制作用の分子機序を明らかにする目的で、培養癌細胞の細胞周期に与える影響とその標的分子を検討した。[方法]培養細胞として mouse BALB/c 3T3 fibroblasts, mouse B16-F1 melanoma, human HepG2 hepatoma, human PC-3 prostate cancer の 各 cell line を実験に用いた。細胞周期はフローサイトメトリーで、蛋白質量はウェスタンブロット法で分析した。[結果]検討した全ての細胞でゲニステインによる細胞増殖抑制作用が認められた。 BALB/c 3T3, B16-F1, HepG2細胞では細胞周期がG1期とG2-M期の両方で停止していた。この際、G1期停止に一致して濃度依存的にp21Cip1の発現誘導が認められた。一方、PC-3細胞ではG2-M期での停止しか認められず、p21Cip1の発現誘導も認められなかった。以上のことからゲニステインは細胞周期をG1期とG2-M期の両方で停止させる作用があり、G1期停止には標的分子としてp21Cip1 の発現誘導作用が重要であると考えられた。