ABSTRACT 1012(P4-2)
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HTLV-1によるカルパイン様プロテアーゼ、Capa6の転写抑制:清水俊樹1,2、福原資郎2、藤澤順一11関西医大・微生物、2同・1内)

Transcriptional repression of Calpain-like protease, Capa6 by HTLV-1 Tax: Toshiki SHIMIZU1,2, Shirou FUKUHARA2, Jun-ichi FUJISAWA1 (1 Dept. of Microbiology and 2 1st Dept. of Int. Med., Kansai Medical Univ.)

HTLV-1の転写活性化因子Tax は、複数の転写エンハンサー(CRE, NF-κB, CArG box, NF-AT)を介して細胞遺伝子を活性化するが、種々の細胞トランスフォーメーションの系においてそれぞれ異なったエンハンサー活性化能が必要とされる。そこで、Rat-1のトランスフォーメーションに関連する細胞遺伝子を同定する目的で、Taxの存在により発現の変動する遺伝子群の同定をdifferential display法により試み、これまでにNF-κBあるいは NF-ATエンハンサー活性化能を介して活性化されると考えられる複数の細胞遺伝子を同定した。一方、近年、細胞増殖制御における転写抑制の関与が注目されることから、Taxにより転写抑制 を受ける遺伝子を解析したところ、Calpain-like protease(Capa6) 遺伝子が得られた。この転写抑制は、既にTaxによる転写抑制 が報告されているDNAポリメラーゼβやlck遺伝子の場合と同様、NF-κB活性化能のみを持つTax変異体では得られないことからE-box を介した制御が示唆された。Calpain-like proteaseはp53の分解等、増殖制御との関連が示唆されているが、その生理的機能は明らかではなく、また、Capa6については他のカルパインファミリー蛋白とは異なり、カルシウム結合ドメインやプロテアーゼ活性に必須とされるアミノ酸残基の一部を欠くことから調節分子としての機能が想像されている。現在強制発現による細胞への影響およびHTLV-1感染細胞における発現について解析中である。