ABSTRACT 1013(P4-2)
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クラスIII POU転写因子Brn-1,Brn-2遺伝子の転写制御領域の解析:柳沼 克幸1, 中福 雅人2, 野田 哲生3,4 (癌研. 物理1, 癌研. 細胞生物3, 東大. 医. 神経生物2, 東北大.医.分子遺伝4

Analysis of transcriptional regulation of the classIII POU domain genes, Brn-1and Brn-2: K. Yaginuma1, M. Nakafuku2, T. Noda3,4 (1Dept. Physics, 3Dept. Cell Biol., Cancer Institute, JFCR, 2Dept. Neurobiol., Tokyo Univ. Sch. Med.,4Dept. Mol. Genet.,Tohoku Univ. Sch. Med.)

【目的】クラスIII POU転写因子群に属するBrn-1とBrn-2の遺伝子発現は、個体発生初期には、おおむね中枢神経系全体に認められ、重複して発現する部位ではBrn-1とBrn-2 因子間の機能的代償が存在する可能性が示唆されている。また、メラノーマでは、Brn-2遺伝子の高発現が起こり、この発現が癌化に伴う表現型の変化に直接関係することが知られている。ところが、これまでBrn-1とBrn-2遺伝子の転写制御に関する知見はほとんど報告されていない。我々は、Brn-1とBrn-2 の転写制御領域の解析を通して、発生過程におけるBrn-1とBrn-2 遺伝子の差別的発現の分子機構を解明する。【方法】遺伝子上流のプロモーター領域の解析には、ラット11.5日胚の脳組織から樹立した、Brn-1とBrn-2の両者を発現する神経上皮培養細胞株を用いた。転写活性は、リポーター遺伝子が細胞の染色体に組み込まれて完全なクロマチン構造を保持できる状態 (Integrated Reporter System)で測定した。【結果】これまでのBrn-2遺伝子上流の詳細な解析から、Brn-2遺伝子には、上流約0.3kbから0.4kbにかけて重要なエンハンサー配列が存在することが明らかになった。また、DNaseI フットプリント法によって、この配列には複数の核タンパク因子が結合することが確認された。エンハンサー活性は、通常の一過性発現系(Transient Assay System)では検出されないことから、エンハンサー結合因子とクロマチン構造との相互作用の重要性が示唆される。エンハンサー配列に相互作用する因子の検索とその解析結果も報告する。