ABSTRACT 1014(P4-2)
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肝特異的転写因子によるアルファフェトプロテイン遺伝子発現の調節機構:中林秀和1、小山芳一1、酒井正春1、玉置大器2、西信三11北大・医・第一生化、2カルガリー大、医、医生化)

Regulation mechanisms of alpha-fetoprotein gene expression by liver-enriched transcription factors: Hidekazu NAKABAYASHI1, Yoshikazu KOYAMA1, Masaharu SAKAI1, Taiki TAMAOKI2, Shinzo NISHI1 (1Dept. of Biochem., Hokkaido Univ. Sch. of Med., 2Dept. of Med. Biochem., Fac. of Med., Univ. of Calgary)

腫瘍マーカーとして知られる胎児性蛋白アルファフェトプロテイン(AFP)遺伝子の発現制御機構を解析し、AFP遺伝子のエンハンサーとプロモーター領域に結合し、組織特異的遺伝子発現を制御する各種転写因子を明らかにしてきた。本研究では、ヒト及びマウス、ラットの制御領域の塩基配列の比較から、制御機構の違いを検討したので報告する。ヒトAFP遺伝子のエンハンサーは、転写開始点の上流-4.1 から-3.7 kb部位に集中して存在し非常に強いエンハンサー活性を示す。この領域には、新たに見つかったHNF-1結合部位を含めて、それぞれ2カ所のHNF-1, C/EBP及び1カ所のHNF-4, HNF-3結合部位が存在する。一方、マウス、ラットのエンハンサーは-6.5 から-6.1 kb, -5.0 から-4.5 kb, -2.8 から-2.5 kbに分散して存在している。これらエンハンサー領域の塩基配列の比較から、新たにHNF-4, C/EBP結合部位の存在が確認された。AFP遺伝子のプロモーター領域の塩基配列は、これらの種を越えて良く保存されているが、ここに存在するグルココーチコイド反応部位(GRE)は、ヒトとマウス、ラットでは逆の反応性を示し、ヒトでは増強しネズミでは抑制することが知られている。この部位をヒトとマウス(ラット)より分離し、各種細胞株に遺伝子導入し機能解析を行った。この結果、それぞれのGREの塩基配列の違いが原因で、このような反応性の違いを起こすことが確認できた。