ポスターセッション

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ヒト唾液腺癌細胞におけるvesnarinoneによるp21^waf1遺伝子の転写活性化を介した発現誘導：川又均、表原文江, 内田大亮, 中城公一, 日野聡史, 吉田秀夫, 佐藤光信 （徳島大・歯・２口外）

Induction of p21^waf1 gene by vesnarinone via transcriptional activation in a human salivary gland cancer cell line : Hitoshi KAWAMATA, Fumie OMOTEHARA, Daisuke UCHIDA, Koh-ichi NAKASHIRO, Satoshi HINO, Hideo YOSHIDA, Mitsunobu SATO (2nd. Dept. of Oral and Maxillofac. Surg., Tokushima Univ. Sch. of Dent.)

我々は既にvesnarinoneが、変異型p53遺伝子を有するヒト唾液腺癌細胞（TYS）において p21^waf1 の発現を増強し細胞増殖を著明に抑制することを報告した (Cancer lett., 112, p181,1997, Brit. J. Cancer, 77, p71,1998)。本研究では TYS 細胞における vesnarinone による p21^waf1 の発現の増強が、転写レベルでの活性化か否かにつき検索した。vesnarinoneはTYS細胞において濃度依存的 (5-50 μg) にp21^waf1 mRNAの発現を増強した。さらにvesnarinone (50 μg) はTYS細胞において処理後２時間と極めて短時間で p21waf1 mRNA の発現を増強し、その作用は蛋白質合成阻害剤シクロヘキシミドで阻害されなかった。p21^waf1 遺伝子プロモーターに対する vesnarinone の影響を検索するために、p21^waf1 遺伝子のプロモーター領域 (2.3 kb あるいは 0.2 kb) を luciferase 遺伝子の上流に連結したレポータープラスミドを構築した。このプラスミドを TYS 細胞にtransfection し vesnarinone で処理を行う事により誘導される luciferase の活性を測定した。その結果 vesnarinone (50 μg) は2.3 kb あるいは 0.2 kbいずれのプロモーターも活性化することが明らかとなった。以上の結果より、vesnarinone は TYS 細胞において蛋白質の合成を介さず転写を活性化する事により p21^waf1 遺伝子の発現を誘導していることが明らかとなった。現在この転写活性化に関与する転写因子の同定を行っている。