ABSTRACT 1016(P4-2)
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Calpain によるretinoid X receptor の限定分解:
西脇理英1、四童子好広2、西脇伸二3,、白鳥義宗1、奥野正隆1、森脇久隆1、武藤泰敏11岐阜大・医・一内、2岐阜国際バイオ研、3,養老中央病・内)

Limited Degradation of Retinoid X Receptor by Calpain (Rie MATSUSHIMA-NISHIWAKI1, Yoshihiro SHIDOJI2, Shinji NISHIWAKI3,, Yoshimune SHIRATORI1, Masataka OKUNO1, Hisataka MORIWAKI1, Yasutoshi MUTO1 ( First Dept. Int. Med., Gifu Univ. School of Med., 2Gifu Internatl. Inst. Biotech., 3,Dept. Int. Med., Yoro Central Hosp.)

RXR(retinoid X receptor)は様々な転写因子と複合体を形成し、種々の遺伝子発現を調節する転写因子である。前回我々は、ヒト肝細胞癌手術標本において、癌組織では非癌組織と比較してRXRαの分解産物である44 kDaのRXRαが54 kDa RXRαに比し相対的に少なく、54 kDa RXRαの代謝の遅延が認められることを報告した。最近m-calpainが様々な転写因子を代謝することが報告されている。今回、肝細胞癌由来細胞株HuH7の54 kDa RXRαが、m-calpainで代謝されるか否かを検討した。54 kDa RXRαはm-calpainにより47 kDa の中間体を経て、44 kDa RXRαへと特異的に代謝された。54 kDa RXRαがどのように分解されて44 kDa RXRαになるのかを解析する為、RXRαのリガンド依存性活性化ドメインでもあるC末端の23アミノ酸残基(AF-2 domain)に対する抗体(anti AF-2)を作製した。Anti AF-2とN末端アミノ酸残基に対する抗体(D-20)とを用いて、HuH7由来54 kDaRXRαのm-calpainによる代謝産物の解析を行った。44 kDaおよび47 kDa RXRαは、anti AF-2とは特異的な反応を示したが、D-20とは特異的な反応を示さなかった。従って、44 kDaおよび47 kDa RXRαでは、54 kDaRXRαのA/B domainが代謝され、C末端は保存されていることが示された。以上の結果より、RXRαはN末から7-10 kDaに相当する部位でm-calpainによって切断され、A/B domain の一部が除かれることが示された。現在、生体内の44 kDaのRXRαについてさらに解析を進めている。